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ヨーロッパの古代・中世・近世・近代の区分で考える異世界漫画の時代背景の考察

異世界漫画に関すること

異世界の漫画・コミック・小説だと古代~近世のヨーロッパ風になっていることが多く、中でも中世ヨーロッパが多いと思われているようです。

ただ中世ヨーロッパというよりは近世ヨーロッパがモデルになっていることが多いです。

異世界漫画がヨーロッパにおける古代・中世・近世・近代のどの時代区分をモデルにしているか見分け方を説明します。

ヨーロッパにおける古代・中世・近世・近代

ヨーロッパにおける古代・中世・近世・近代は概ね下記のように区分されています。

  • 古代:西暦500年くらいまで
  • 中世:西暦500年くらいから1500年くらい
  • 近世:西暦1500年くらいから1800年・1850年くらい
  • 近代:西暦1800年くらいから1989年くらい?

古代ヨーロッパは西暦500年くらいまで

一般的に古代ヨーロッパは西暦500年くらいまでと言われています。

西ローマ帝国が滅亡した西暦480年くらいまでが古代ヨーロッパとされています。

この時代にはまだ冊子タイプの本は存在せず、羊皮紙による巻物が一般的です。

冊子タイプの本が登場していれば中世ヨーロッパ以降ということになります。服装も簡易的なもので今でいうパンツルックというものがありませんでした。

古代ヨーロッパか中世ヨーロッパか大雑把に言えば

  • 冊子タイプの本がある=中世以降のヨーロッパ
  • 冊子タイプの本が無い=古代ヨーロッパの可能性が高い

という判断がわかりやすいです。

中世ヨーロッパは西暦500年くらいから1500年くらい

西ローマ帝国が滅亡した後、概ね西暦480年くらいから1400~1600年くらいまでとされており、明確に西暦何年までが中世ヨーロッパとは決まっていません。

中世ヨーロッパの定義として4つの出来事で区分されることが多いです。

  • 東ヨーロッパ帝国の滅亡までが中世
  • ルネサンスの終焉までが中世(ルネサンス期は概ね1300年代初頭から1530年くらい)
  • 宗教革命が始まった頃は中世、途中から近世(宗教改革は1517年頃から1648年頃まで)
  • 大航海時代が始まった頃から近世(大航海時代の始まりは1450年頃)

ヨーロッパという大きな地域が一斉に今日から近世!となる訳がないことはわかる通りで、徐々にルネサンスや宗教革命、大航海時代が広がっていく過程で中世ヨーロッパというものが終わりに向かって、近世ヨーロッパになっていたと考えるのが自然です。

ただわかりやすく見ると1445年に「ヨハネス・グーテンベルク」が活版印刷技術を考案し、1450年頃には活版印刷が確立した頃からが近世と見ることが出来るので、写経ではなく印刷された本が登場してくる異世界漫画であれば近世ヨーロッパと言えます。

この辺りの変化はまさに「本好きの下剋上」で中世ヨーロッパから近世ヨーロッパに移り変わる時代を描いていると言えます。

また建物において普通に透明の窓ガラスが使われるようになったのはルネサンス以降15世紀と言われているので、貴族・王族の住居以外、街の一般的な建物で透明ガラスが使われているとすればほぼ近世以降と考えることが出来ます。

近世ヨーロッパは西暦1500年くらいから1800年・1850年くらい

近世ヨーロッパはルネサンス・宗教革命・大航海時代の始まりくらいから概ね1800年から1850年くらいまでを指すのが一般的です。

近世ヨーロッパは2つのことで区分されることが多いです

  • 市民革命以降が近代ヨーロッパ(主にフランス革命1795年まで・最大で1848年革命まで)
  • 産業革命以降が近代ヨーロッパ(産業革命は1740年くらいから1840年くらい)

市民革命により王政(封建制・絶対君主制)から民主主義・資本主義に変化していく過程が近世ヨーロッパから近代ヨーロッパへの変化と言われることが多いです。

または産業革命により蒸気機関が生まれ蒸気機関車が1802年に登場したくらいからが近代ヨーロッパとも言われています。

産業革命が始まり、それに伴い人々の働き方も変わっていき市民革命が起こり、近世から近代への変化が起こったと言えます。

  • わかりやすく見れば、王政が一般的な世界なら近代ヨーロッパではない
  • 蒸気機関に似た乗り物があれば近代ヨーロッパ

と考えると異世界漫画の時代区分が概ね見えてきます。

「異世界で上前はねて生きていく」は魔導列車が登場しており、産業革命以降の近代ヨーロッパ風だと言えます。

近代ヨーロッパは西暦1800年くらいから1989年?

近代ヨーロッパは市民革命・産業革命を経て一般的には1914年の第一次世界大戦開始までと見られています。しかし1990年以降はベルリンの壁崩壊とそれに伴う冷戦の終結までが近代ヨーロッパの歴史とされることもあります。

  • 1914年までが近代ヨーロッパ
  • 1989年頃までが近代ヨーロッパ

2つの説がありますが、このサイトでは1914年第一次世界大戦勃発までが近代ヨーロッパ風としてしています。

衣類・服装で見るヨーロッパにおける古代・中世・近世・近代

実際のところ、どの時代のヨーロッパを舞台にしているか一番わかりやすいのは衣類・服装だと言えます。

Wikipediaがその辺りをわかりやすくまとめています。

参考:洋服の歴史 Wikipedia

洋服の遷移Wikipediaより

洋服の遷移Wikipediaより

実際にWikipediaを見てもらうとわかりますが、ほとんどの異世界漫画の服装・衣類を見ると、近世から近代の服装であり古代・中世の服装になっているものはかなり少ないです。

異世界漫画の時代背景は楽しむ程度で十分

中世ヨーロッパ風と言われる「本好きの下剋上」を服装で見てみると近世~近代ヨーロッパになっています。

また悪役令嬢の異世界漫画も服装で見れば近世~近代ヨーロッパです。

もちろん異世界であり地球上の歴史と同じ背景にある訳ではないので無理やりヨーロッパの歴史に当てはめることは無意味です。

また読者にしても厳密過ぎる服装を描かれてもイメージしにくいという問題もあるでしょう。

だから異世界の漫画・コミックにおいての時代背景は、地球と類似していてもあくまでも異世界であり雰囲気を伝える手段として見るくらいが良いと思います。

もちろん時代背景を考えたり、考察するのも楽しみの1つになると思います。

「本好きの下剋上」に関しては、写経の時代から印刷の時代を面白く異世界風に描いていると思って楽しく読んでいます。

前提が違うことを考えて楽しむ

異世界漫画の多くは、魔法や魔術・ギフト(スキルや授けられる特殊な職業)・特殊な鉱石(ミスリルとかオリハルコンとか魔石とか)があります。

そういった地球にはないものがあれば、時代の進み方も変化することは当然考えられます。

また環境によっても進化が変化するのは地球上でも確認されていることなので、例えば異世界の酸素濃度が地球と違ったり、自転の速度が違ったり、重力の数値が異なっていれば、地球の人間と違う進化が見られたり文化の発展も異なってくるでしょう。

四季の気温の変化が激しい地域であれば、快適に過ごすための衣類の発展が考えられますが、四季の気温の変化がほとんどなく快適な地域であれば衣類の発展はそれほど起こってないということが考えられます。

なので魔法やギフトだけでなく、異世界の環境でも歴史の進み方や文化の進み方は異なります。

また宗教観によっても大きく文化は異なってきます。

地球上の人間でも脳の違いによって、特殊な才能を得る人もいますから、脳の違いがある人だけの村があり時代が進めば、離れた村とは全く違う文化になるかもしれません。

目で見たものの絶対的な記憶を持つ人ばかりなら、描くという文化は発展しないかもしれないかもしれません。

視力の良い人ばかりで外敵の少ない環境なら、レンズというものは発展しないかもしれません。

ゴムの木や綿はあるけど鉄等の鉱石が無い地域なら、金属のバネによる衝撃吸収の文化は生まれてこないかもしれません。

必要ないものは文化として発展しにくいですから。

異世界は近代以前であることが多く、海には魔獣・モンスターがいて船での長距離航行は出来ないし、飛行機はないので、大陸を隔てた文化の交流が難しいということも考えられます。

地球だって恐竜が絶滅しなければ海には巨大な肉食系の恐竜が残っていたかもしれませんし、一歩ナニかが異なればクジラのような巨大生物がもっと凶暴な生物になっていた可能性だって考えられます(もちろん巨大生物が凶暴すぎたら種の保存は難しくはなりますが)。

そうなれば中国からの文化の伝播は発生せず、日本は今とは全くことなる文化になっていたかもしれません。もしくは中国との距離があと1000kmほど離れていたら文化の伝播は今よりもなかったかもしれません。

そういういろいろなことを考えて、この異世界で文化が地球と違うのは、こういう理由があるんじゃないかな?と想像することでより異世界漫画を楽しめると思いませんか?

以上、ヨーロッパの古代・中世・近世・近代の区分で考える異世界漫画・コミックについてでした。

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